『空中強襲揚陸艦SIVA』という星座
こんにちは、タロスケです。
前回の更新から半年近く経ってしまいました。
冴えカノ見たり、デレマスのライブ行ったりしてたんだけど、なかなかアウトプットに至ってなかった。
久しぶりの今回は『劇場版SHIROBAKO』でオタク感情を垂れ流していこうと思います。
みなさんアニメSHIROBAKOはご覧になりましたか?
「自分達のアニメを制作する」という夢を持つ主人公5人組の女の子達が、様々なアプローチでアニメ制作を仕事にし、その夢を追うお話です。
アニメ制作に関わる様々な立場の人がガンガン描かれ、業界のリアルが垣間見えると共に、
「仕事」ならではの人に振り回される感も描かれた作品です。
人の感情の機敏、登場人物の見せ場作りetc.脚本の造りの細かさにも圧倒されます。
普段アニメを見ないような人にも是非オススメします。
自分は大学生時代にSHIROBAKOを見ましたが、劇場版を前に先日見直しました。
社会人になってから見るSHIROBAKOはまた一味違って、この作品は何回でも楽しめるな~。と思った次第です。
劇場版はアニメ版を押さえた方が300億倍くらい楽しめますので、まだの方はここでこのブログを閉じ、今すぐ各種配信サイトで見てきてください。
https://gyao.yahoo.co.jp/p/00871/v12220/gyao.yahoo.co.jp (3/6まで前半無料)
anime.dmkt-sp.jp
前置きが長くなりました。
劇場版SHIROBAKOの感想と参りましょう。
今回もネタバレを含む記事となりますのでご容赦ください。
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いやぁ。SHIROBAKOとても良かったですね。
新型コロナウイルスの影響で舞台挨拶が中止になってしまい、残念でしたが、作品はしっかり見られて嬉しかったです。
自分は、彼女達とは違い、好きや夢を仕事にしているとは言い切れないですが、それでも『後の達成感を得る一瞬のために、今を精一杯頑張って仕事をしよう』と思いました。
仕事って結局そういうもんなんだと、思わされましたね。
ジタバタしよう。
見終わった後、「どうしても食べないわけにいかねえな」と言いながらカレー食べに行っちゃいましたよ(笑)
今回のSHIROBAKOで言及しなければならないのは
・5人の挫折と成長
・自分の道を否定してもう一段上に向かい続けるおいちゃん
・アニメ版出演者全員大集合の凄まじさ
・メタ設定のアツさ
辺りでしょうか。1つずつ見ていきたいと思います。
A5人の挫折と成長
第三飛行少女隊から4年が経ち、それぞれに立場を持ち上げた5人。今回の劇場版は、それぞれ立場に追い付いていないそれぞれの精神性、そのギャップを埋める119分であるように思います。
さらに言えばみゃーもりは1人だけギャップを2回埋めている訳ですが。
全員見ていく必要はないのですが、僕の感情の整理のために1人ずつ見ていきましょう。
おいちゃん
タイマス事変の後、多くのスタッフがムサニを出て仕事をしていく中、ムサニに残り、ナベPの社長就任にともない繰り上げ(?)でプロデューサーに。
とはいえムサニはタイマス事変後の負のスパイラルから抜け出せず、元請けが出来ない状態。
『作りたくても作れない』という精神に浸ってしまっています。
前社長の「若い君たちは、前に前に、進まなきゃ。」という言葉で
「とりあえず、とりあえず、やってみよう」とこの精神性を打破(ギャップの解消)、葛城Pの打診に「やりましょう」と即答するに至ります。
(ところでここのミュージカルパート、作りが細かくて良かったですね。)
さらにげ~ぺ~う~の横槍に対しても、当初己の無力さにうちひしがれましたが、ロロの言葉を受けて「良いものを届けたい、届けなければならない」と、プロデューサーの立場をフル活用して(ギャップの解消)、解決にこぎ着けます。
えま
原画マンとして成長し、作監を任されるまでになったえま、SIVAの仕事を受ける時に笑顔でみゃーもりに詰める姿に驚きました。この4年、何があったんだよ(笑)
彼女の悩みは作監として自分の理想とのギャップに苦しんでいるところ。
小笠原・井口という二人の背中を見て育ったえまが、作監として原画マン小笠原を御さなければならないというこの苦悩を救ったのは、杉江さんの「絵を描くっていうのは理屈じゃない、本能なんだよ」という言葉でした。
「原画マンの絵を殺してはいけない」と小さくなってしまっていたえまは、作監を任されるまでになったその客観評価に、自信がつくという形で精神が追いついた(ギャップ略)と言えるでしょう。
ずかちゃん
4年で一番様変わりしてるでしょ。
アイドル化する若手声優っていう昨今の状態(良し悪しはここでは話さない)も反映されていて「リアルぅ~」ってなっちゃいますよ。
自分がやりたいことはこれではないと思いながら、現状に甘んじている彼女を解放したのは、師匠の縦尾さん。
「やりたいことがあるなら、言っていかなければ、伝わらない」
(そこまでではないとしても)世間の評価に反して、自分を押し殺してきたずかちゃんにとって、自分の熱意に従ってよい(ギャ略)という助言はまさに目からウロコだったはず。
仕事相手はデキの悪い旦那。明日からの仕事に向けて心に刻み込みました。
みーちゃん
アニメ版で『好き』の方向性と、仕事をアジャストしたみーちゃん、彼女が今回ぶち当たった壁は、手に入れたアニメをやれる環境とキャパシティーとのギャップ。
スーパーメディアクリエイションズを捨て、アニメを作る立場を、
スタジオカナブンの中でも信用を勝ち取り、人を仕切る立場を、
それぞれ手に入れはしたものの、熱意だけではどうにもならないことを突きつけられています。
その中で杉Gのアニメ教室に参加し「分担」という言葉にハッとし(ギ略)、そこからはイキイキと仕事をしていきます。
りーちゃん
新進気鋭の要注目脚本家、すこ。
脚本家として名をあげてはいるものの、序盤に舞茸しめじにダメ出しをされるシーンもあり、彼女もまた自信を持つには至っていません。
「師匠(舞茸)に認められてこそ」と思っているのが、アニメ版からずっと見て取れる。
SIVA制作にあたって、悩みは直接影響はしていませんが、キャッチボール(物理)を通じてスランプを抜け出した舞茸先生から「商売敵だよ」と言われ、初めて、自信を持つことができた(略)のだと思います。
ところでラスト1球のフォーム綺麗すぎひんかw
あと「師匠じゃない」がまさかこんな形で伏線回収されるとは。アツい。
5人見たらさすがに尺を取りますねw
立場に自信が追いついたおいちゃん・えま・りーちゃん
熱意の実現の仕方を獲得したずかちゃん・みーちゃん
5人とも『好き』を超えた、自分の為したい『信念』を手に入れたという点が素晴らしい。
みーちゃんだけが師匠を得られていないというのが、とても気になる。
ズーパークストーリーを作った立石社長とは決別してしまっているしな・・・
それにしても杉江老師、敵わない。杉Gのアニメ教室、メチャクチャに影響力がでかい。
B自分の道を否定してもう一段上に向かい続けるおいちゃん
アニメ版最終話でロロに「少し高いところから遠くを見る時が来た」と促され、「アニメが好きで、アニメを作る人が好きだから、これからもずっとアニメを作り続けたい!」とアニメを作る理由を定義したおいちゃん。
そして今作でも前半で前社長に「前に進まなきゃ」と促され、「とるものもとりあえずアニメを作ろう」とアニメを作ることを決めていたおいちゃん。
そのおいちゃんが今作の後半。またもロロに促される形で、それまでの定義づけを投げ捨てて「好きなアニメを、人に届けたい」とプロデューサーとしての信念を持つに至ります。
前半の前社長の「好きだけで作れるのは簡単なことじゃない」という言葉もしっかり回収しているところもポイントが高い。
ラストシーンで「俺たた」と言いながら、七福神(陣)の宝船に向かって歩いているのもメチャクチャ脚本のポイントが高い。アニメ最終話は5人で打ち上げ会場で立ち止まりながら見送るだけだったのとは好対照。
着実に七福陣の夢に近づいていることが示唆されていて良いですね。
Cアニメ版出演者全員大集合の凄まじさ
パティシエ本田さんはもちろん、原画マン、仕上げさん、音響さんや撮影さん、果ては菅野まで勢ぞろい。変な話ィ~茶澤が余計なことするところまで、アニメ版を見ているファンにやさしすぎる。ありがとう横手さん。
そして、SIVAというアニメは彼らという星々が集まって完成したということなんですよ。(タイトル回収)
俺たちも、キラキラを、集めて、生きていこうな。
遠藤さん引き戻しパート、激アツでしたね。タイマス事変で一番絶望した遠藤君でなければラストの「ふざけんな!」は言えない。誰よりも説得力のある熱弁でした。
ところで、ゲーセンで先輩風を吹かせた瀬川さんの「癖、変わってない」発言、全然そんなことないのに、『元カノ負けヒロイン風』が強すぎて性癖にブッ刺さるだろうが。(オタク特有の早口)
第三飛行少女隊の原作者を登場させ、三女の二期がお色気路線に走ったことまでも伏線とすることで、ラストでは『真・第三飛行少女隊』の制作が決定し、元請けとしてムサニが復権(限界集落過疎娘二期とオリジナル銭湯格闘アニメ含め)していく様子が示唆されています。
大団円。すばら。
矢野さんおかえりなさい。アニメを作ろうのミュージカルで、矢野さんのマグカップのキャラクターまで登場してたの笑っちゃいましたよ。
釣り堀でアイス食べるのはマイルールなんですか?アニメと味違いましたけど。(細かい)(矢野先輩に真剣)
落合居た?そこだけ気になってる。
(3/1追記:制作の安藤さんが落合が移籍したドロップフィットスタジオに在籍していることから、安藤さんの出戻りには落合の力添えが有ったのでは。という指摘をいただきました。)
Dメタ設定のアツさ
ここからが一番言いたいところ。
1尺について
当初の打ち合わせでSIVAの尺は「90分ちょい」という話でした。げ~ぺ~う~を「よござんすね?」して、上司二人にありがとうされて、エンドロール(仮)したあたりで90分ちょいのはず。まさに「これで終わるんだ」という感じ。
そこからおいちゃんの「ラストを作り直したい」発言で一気に盛り上げる。SIVAとSHIROBAKO、どちらも90分ちょいの尺を過ぎてからラストを盛り上げるという二重構造がメチャクチャ好き。
2フランスについて
キービジュの「民衆を導く自由の女神」パロディが一番大きなポイントでしょう。 この絵画が題材としている七月革命ですが、ざっくり言うと
王政→ナポレオンというフランス革命の反動で、復活した王政を、再度資本家が打ち倒す革命です。
えくそだすっ!と三女で輝いたムサニが、タイマス事変という「大手でないと乗り越えられない」事件で再度零落し、今作では、げ~ぺ~う~(大手なのか知らんけど)を打ち倒し、再度元請けとして復権していく。
モチーフとして最高のキービジュですね。
さらに僕はSHIROBAKO大好きなので、超楽観的な妄想をします。
フランスは七月革命のあと、労働者が資本家を打ち倒す二月革命というのが起こりますが、ここまで見越したキービジュアルであるとすれば、ムサニでももう一段革命がおこる。
それが何かと言えば、おいちゃんが企画を立ち上げるということ。言うまでもなく「神仏混交七福陣」、5人の夢であるし、高梨が演出として企画を持ち込んでいたのも立派な伏線。
劇場版の続編、お待ちしておりまっせ。
フランスでついでにもう一個言っておくと、モンブランってフランスの山だよね。
おわりに
駄文長文、オタク感情の垂れ流しにお付き合いいただき、ありがとうございました。
作品の脚本に感動するオタクとして、どういう伏線回収があって、対比があって、というところを整理するのは、確実に有益だと思う次第です。